単純平均で知る投資の基礎と注意点

単純平均で知る投資の基礎と注意点

投資の初心者

先生、算術平均って、どうして投資の期待収益率を出す時に使うんですか?変動幅が反映されないってことは、あまり正確じゃないってことですよね?

投資アドバイザー

いい質問ですね。算術平均は、確かに変動幅を考慮しないので、将来の収益率を正確に予測するのには向いていません。しかし、過去のデータから「だいたいこれくらいのリターンが期待できるかな」という目安を知りたい場合には、手軽に計算できるので便利なんです。

投資の初心者

なるほど、あくまで目安として使うんですね。でも、変動幅が大きい投資の場合、算術平均だけだと危険ですよね?

投資アドバイザー

その通りです。変動幅が大きい投資、例えばハイリスク・ハイリターンの投資案件を評価する際には、算術平均だけでなく、標準偏差などのリスク指標も合わせて確認することが非常に重要になります。それらを総合的に見て、投資判断をする必要があるんです。

算術平均とは。

投資の世界で使われる「算術平均」とは、毎年得られる収益の割合を、年間の平均として計算する方法です。これは、各期間の収益率を単純に足して平均を出すため、計算が容易であるという利点があります。しかし、それぞれの年の収益率の変動幅が考慮されないという欠点があります。例えば、証券Aの収益率が1年目に5%、2年目にマイナス3%、3年目に1%だった場合と、証券Bの収益率がそれぞれ0.5%、1%、1.5%だった場合、算術平均ではどちらも1%となり、収益率のばらつきが反映されません。算術平均は、投資案件から期待できる収益率を予測する際などに用いられます。

算術平均とは何か

算術平均とは何か

算術平均とは、複数の数値を足し合わせた合計を、その数値の個数で割って算出する、最も基本的な平均の求め方です。日常生活の色々な場面で使われており、例えば、試験の平均点や、ある期間の売り上げの平均などを計算する時に使われます。投資の世界では、ある金融商品の過去の収益率を平均することで、将来の収益を予測するための指標として使われます。\n例えば、ある株式の過去五年の年間収益率がそれぞれ五%、マイナス三%、一%、八%、二%だった場合、これらの数値を合計し(五引く三足す一足す八足す二は十三)、それを五で割ることで、算術平均収益率は二.六%と計算できます。\nこの二.六%という数字は、過去のデータに基づいた単純な平均であり、将来の収益を約束するものではありませんが、投資判断をする上での参考情報として活用できます。ただし、算術平均は、数値の変動が大きい場合、その影響を十分に表せないという点に注意が必要です。

項目 説明
算術平均 複数の数値を合計し、その個数で割ったもの
利用例 試験の平均点、売上平均、投資収益率の平均
投資における利用 過去の収益率から将来の収益を予測する指標
計算例 5年間の収益率: 5%, -3%, 1%, 8%, 2% → 平均: 2.6%
注意点 数値の変動が大きい場合、影響を十分に表せない

計算方法と具体例

計算方法と具体例

算術平均とは、複数の数値を足し合わせ、その合計を数値の個数で割ったものです。これにより、対象となる数値群の代表的な値を知ることができます。計算式は以下の通りです。

算術平均 = (数値1 + 数値2 + 数値3 + … + 数値n) ÷ n

例えば、ある資産の過去五年間における年間利回りが以下の通りだったとします。

一年目 一割
二年目 マイナス五分
三年目 八分
四年目 二分
五年目 五分

この場合の算術平均利回りは、(一割 – 五分 + 八分 + 二分 + 五分) ÷ 五 = 四分となり、四分と算出されます。別の例として、株式甲と株式乙の過去三年間における利回りを比較してみましょう。

株式甲 一年目 五分、二年目 マイナス三分、三年目 一分
株式乙 一年目 〇・五分、二年目 一分、三年目 一・五分

それぞれの算術平均は、株式甲が(五分 – 三分 + 一分) ÷ 三 = 一分、株式乙が(〇・五分 + 一分 + 一・五分) ÷ 三 = 一分となり、どちらも同じ一分となります。このように、算術平均だけでは、株式甲のように利回りが大きく変動する危険性を把握することが難しい場合があります。

項目 説明
算術平均 複数の数値を足し合わせ、その合計を数値の個数で割ったもの
計算式 (数値1 + 数値2 + … + 数値n) ÷ n
例1 (過去五年間における年間利回り) (10% – 5% + 8% + 2% + 5%) ÷ 5 = 4%
例2 (株式甲) (5% – 3% + 1%) ÷ 3 = 1%
例3 (株式乙) (0.5% + 1% + 1.5%) ÷ 3 = 1%
注意点 利回りの変動幅が大きい場合、算術平均だけではリスクを把握しきれない

算術平均のメリットとデメリット

算術平均のメリットとデメリット

算術平均の利点は、計算が容易であることです。複雑な計算は不要で、計算機や表計算ソフトを使えば誰でも簡単に計算できます。そのため、投資を始めたばかりの人でも、過去の資料から将来の期待される収益率を容易に予測できます。また、多くの投資関連書籍やウェブサイトで使われているため、情報を集めやすいことも利点です。しかし、算術平均には欠点もあります。最も大きな欠点は、各期間の収益率の変動幅が考慮されないことです。例えば、ある投資商品の収益率が大きく変動する場合、算術平均はその変動の大きさを無視して平均値を計算します。そのため、算術平均だけを参考に投資を判断すると、実際のリスクを低く見積もってしまう可能性があります。また、算術平均は複利の効果を考慮していません。複利とは、投資で得た利益を再び投資することで、利益がさらに利益を生む効果のことです。算術平均は、この複利の効果を考慮せずに各期間の収益率を平均するため、長期間の投資では実際の収益率とずれが生じることがあります。

項目 算術平均
利点
  • 計算が容易
  • 情報を集めやすい
欠点
  • 収益率の変動幅が考慮されない
  • 複利の効果を考慮していない

幾何平均との違い

幾何平均との違い

投資の世界では、単純平均と並んで相乗平均が用いられます。相乗平均は、複利効果を考慮した平均を求める際に役立ちます。計算方法は、各期間の収益率を全て掛け合わせ、その結果のn乗根(nは期間数)を算出します。例えば、ある投資の過去3年間の収益率が5%、-3%、1%の場合、(1 + 0.05) * (1 – 0.03) * (1 + 0.01) = 1.029985の3乗根を計算し、約1.0098となり、ここから1を引いて100を掛けることで、約0.98%と算出されます。一方、単純平均では(5 – 3 + 1) / 3 = 1%となります。相乗平均は、収益率がマイナスになる期間があると、単純平均よりも低い値を示す傾向があります。これは、相乗平均が複利効果を考慮しているためです。長期投資においては、相乗平均の方が現実的な平均収益率を示すと考えられています。実際の投資では、収益を再投資することで複利効果が得られるためです。しかし、相乗平均は計算が複雑であるため、投資初心者には理解しにくいかもしれません。

単純平均 相乗平均
計算方法 (収益率の合計) / 期間数 (各期間の(1+収益率)を掛け合わせたもののn乗根) – 1
考慮する効果 考慮しない 複利効果
収益率がマイナスの場合 単純平均より低い値を示す傾向
長期投資 現実的な平均収益率を示しにくい 現実的な平均収益率を示す
計算の複雑さ 簡単 複雑

投資判断における算術平均の活用と注意点

投資判断における算術平均の活用と注意点

投資の意思決定において、単純平均は参考情報の一つとして役立ちます。しかし、単純平均のみに頼ると、潜在的な危険性を見過ごす可能性があります。特に、収益率の変動が大きい投資商品や、長期投資を検討する際は、他の指標と併用することが大切です。例えば、標準偏差は収益率のばらつきを示し、危険性を評価するのに役立ちます。また、危険度に対する収益率を示す尺度も、投資効率を判断する上で重要です。これらの指標と単純平均を組み合わせることで、より多角的な視点から投資判断ができます。さらに、将来の市場変動や投資商品の特性も考慮に入れるべきです。過去のデータは参考にはなりますが、将来を保証するものではありません。市場は常に変化し、過去のデータが通用しなくなることもあります。最終的には、ご自身の投資目標やリスク許容度を考慮し、総合的に判断することが重要です。様々な情報を集め、慎重に検討を重ねた上で、投資の意思決定を行いましょう。

要素 詳細
単純平均の役割 投資判断の参考情報の一つ
単純平均の限界 潜在的な危険性を見過ごす可能性
併用すべき指標
  • 標準偏差(収益率のばらつき)
  • 危険度に対する収益率
考慮すべき点
  • 将来の市場変動
  • 投資商品の特性
  • 投資目標とリスク許容度
結論 総合的な判断が重要