外国有価証券の保管方法:預り証方式とは
投資の初心者
先生、「預り証方式」って、ちょっと難しくてよく分かりません。もっと簡単に教えてもらえませんか?
投資アドバイザー
はい、分かりました。「預り証方式」を簡単に言うと、海外の株などを買うときに、信託銀行が証券会社に頼んで、その証券会社が発行する「預り証」を受け取る方法です。実際には、証券会社が海外の機関に株を保管してもらっているんですよ。
投資の初心者
なるほど、証券会社が発行する「預り証」が大切なんですね。でも、説明の中に「証券会社の倒産リスクの問題がある」と書いてありました。もし証券会社が倒産したら、どうなるんですか?
投資アドバイザー
良いところに気が付きましたね。もし証券会社が倒産してしまうと、預けていた株やお金が戻ってこなくなる可能性があるんです。だから、預り証方式は、便利な反面、その証券会社の信用力をよく確認しておく必要があるんですよ。
預り証方式とは。
「投資」における『預り証方式』とは、信託銀行などが海外の有価証券を取引する際に用いられる方法の一つです。国内の証券会社を通して売買を依頼し、その証券会社が発行する「預り証」を受け取って保管します。実際の注文は、証券会社と契約している現地の保管機関(カストディアン)が、証券会社名義の口座で証券を管理します(通常は複数の顧客の証券をまとめて保管しますが、顧客の口座と証券会社の口座は区別されます)。この方式は、現地の決済方法に比べて信託銀行などの事務手続きが容易になる利点がありますが、証券会社が破綻した場合のリスクが存在するという問題点があります。
預り証方式の仕組み
預り証方式は、信託銀行などが海外の有価証券を取引する際に利用される保管方法です。国内の証券会社を通じて海外の有価証券を発注し、現地の保管機関であるカストディアンが証券会社名義で有価証券を保管します。国内証券会社は、その有価証券の預り証を発行し、信託銀行などがそれを保管します。預り証は有価証券の所有権を直接示すものではありませんが、間接的な管理手段として機能します。複数の顧客の有価証券がまとめて保管されることが多いですが、顧客の口座と証券会社自身の口座は明確に区別され、資産が保護される仕組みとなっています。
項目 | 説明 |
---|---|
預り証方式 | 信託銀行などが海外有価証券取引で利用する保管方法 |
取引の流れ | 国内証券会社が海外有価証券を発注 → カストディアンが証券会社名義で保管 → 国内証券会社が預り証を発行 → 信託銀行などが保管 |
預り証 | 有価証券の所有権を直接示すものではないが、間接的な管理手段 |
保管 | 複数の顧客の有価証券がまとめて保管されることが多い |
資産保護 | 顧客の口座と証券会社自身の口座は明確に区別 |
現地決済方式との違い
外国の有価証券を保管する方法として、預り証方式のほかに現地決済方式があります。この方式では、信託銀行などが直接現地の保管機関に口座を開設し、そこで有価証券を保管します。これにより、より直接的な管理が可能となります。一方、預り証方式では、国内の証券会社を経由するため、為替取引や現地の法規制への対応などを証券会社に委託でき、事務負担を軽減できます。しかし、証券会社が仲介に入るため、手数料が発生するコスト面の違いが生じます。どちらの方式を選ぶかは、各機関の規模や戦略、リスクに対する考え方によって異なります。
保管方式 | 現地決済方式 | 預り証方式 |
---|---|---|
保管場所 | 現地の保管機関 | 国内の証券会社 |
管理 | 直接的な管理 | 間接的な管理 |
事務負担 | 大きい | 小さい (証券会社に委託) |
コスト | 低い (仲介手数料なし) | 高い (仲介手数料あり) |
為替・法規制対応 | 自社対応 | 証券会社に委託 |
事務の簡便性とリスク
預り証方式の利点は、金融機関における事務手続きが簡素化されることです。海外の有価証券の売買や管理に伴う複雑な事務を、国内の証券会社に委託できるため、金融機関は本来の業務に注力できます。特に、外国為替取引や税務処理、現地の法律への対応は専門知識が不可欠ですが、証券会社に委託することで、これらの負担を大幅に減らせます。
しかし、預り証方式には、証券会社の経営状況が悪化する危険性が存在します。もし証券会社が経営破綻した場合、預り証の価値が損なわれる可能性や、海外有価証券の返還が遅れることも考えられます。そのため、預り証方式を利用する際は、証券会社の財務状況や信用力を十分に確認することが重要です。また、万が一の場合に備えて、預り証に対する保険や補償制度を検討することも大切です。
利点 | 危険性 | 対策 |
---|---|---|
金融機関の事務手続き簡素化 (外国為替取引、税務処理、現地法対応の負担軽減) | 証券会社の経営状況悪化による預り証の価値毀損・返還遅延の可能性 | 証券会社の財務状況・信用力の確認、預り証に対する保険・補償制度の検討 |
証券会社の倒産リスク
証券会社が経営に行き詰まる危険性は、預り証を利用する上で特に注意すべき点です。もし証券会社が破綻した場合でも、顧客の資産は法律で保護されているため、すぐに失われるわけではありません。しかし、預り証は証券会社が発行するものであるため、その価値が下がる可能性や、外国の株式などの返還に時間がかかる可能性があります。また、保護される資産の範囲や返還の手続きは、証券会社の状況や法的な手続きによって変わるため、不確実性が伴います。そのため、預り証を利用する際は、証券会社の経営状況や信用力を定期的に確認し、危険を管理することが大切です。具体的には、証券会社の格付け情報や財務状況を確認し、経営に問題がないかを確認することが重要です。万が一の事態に備えて、預り証の保険や補償制度を検討することも有効な手段となります。
危険性 | 詳細 | 対策 |
---|---|---|
証券会社の経営破綻 |
|
|
預り証方式の選択における検討事項
預り証方式を選ぶにあたっては、いくつかの大切な確認事項があります。まず、貴社の事務処理能力や専門知識の水準を見極め、外国の株式や債券の管理をどれくらい外部に任せる必要があるかを検討しましょう。もし、自社で十分な知識や担当者を確保できるなら、別の方法も視野に入れることができます。次に、証券会社の手数料やサービス内容を比較検討し、費用対効果の高い会社を選びましょう。手数料だけでなく、為替レートや税務処理の支援体制も重要な判断材料となります。また、証券会社の経営状態や信用力をしっかりと確認し、万が一のリスクを最小限に抑えることが不可欠です。信用格付けや財務諸表などを確認し、経営に問題がないかを確認しましょう。さらに、もしもの事態に備えて、預り証に対する保険や補償制度などを検討することも、リスク管理として有効です。これらの確認事項を踏まえ、貴社にとって最良の保管方法を選ぶことが大切です。
確認事項 | 詳細 | 重要度 |
---|---|---|
事務処理能力と専門知識 | 外国株式・債券の管理を外部委託する必要性を検討。自社で対応可能か判断。 | 高 |
証券会社の手数料とサービス | 手数料、為替レート、税務処理支援体制などを比較検討し、費用対効果の高い会社を選ぶ。 | 高 |
証券会社の経営状態と信用力 | 信用格付けや財務諸表を確認し、経営に問題がないか確認。 | 非常に高い |
保険・補償制度 | 預り証に対する保険や補償制度を検討し、リスク管理を強化。 | 中 |