資産の価値変動を理解する:評価損益とは

資産の価値変動を理解する:評価損益とは

投資の初心者

先生、評価損益について教えてください。保有している資産を売ったと仮定した場合の価格と買ったときの価格の差のことだと書いてありましたが、いまいちピンときません。

投資アドバイザー

なるほど、評価損益は少し難しいかもしれませんね。簡単に言うと、持っている株や投資信託などの値段が変わった時に、実際に売らなくても「もし今売ったらどれくらい儲かる(または損する)かな?」という金額のことです。

投資の初心者

ということは、まだ売っていないから、実際にお金が増えたり減ったりしているわけではないんですね?

投資アドバイザー

その通りです!あくまで「もし売ったら」の話なので、評価損益は含み益(含みのある利益)や含み損(含みのある損)とも呼ばれます。実際に売って利益や損失が確定した時とは区別されます。

評価損益とは。

資産運用における『評価損益』とは、まだ確定していない損益の一つです。例えば、株などの資産を売却した場合に得られるであろう利益や損失を指します。実際に売却していなくても、もし売却したらどうなるかという想定の損益を「含み損益」や「評価損益」と呼びます。具体的には、現在保有している資産の価格(時価)と、その資産を購入したときの価格(帳簿価格)の差額が評価損益となります。

評価損益の基本概念

評価損益の基本概念

資産を運用する上で、評価損益は非常に大切な考え方です。これは、私たちが持っている資産の価値が変わることで生じる、まだ実現していない利益や損失のことです。例えば、今持っている株や不動産などを売ったらいくらになるかを計算し、その結果が元の値段より高ければ評価益、低ければ評価損となります。これは実際に売買したわけではないので、「含み益」や「含み損」として扱われます。評価損益を理解することで、自分の資産全体のリスクを知り、より良い投資判断ができます。もし評価益が大きければ、利益を確定するために一部を売ることも考えられますし、評価損が大きければ、損失がさらに大きくならないように売ってしまうことも考える必要があります。このように、評価損益は、投資の計画を立てる上で欠かせない情報となります。さらに、評価損益は、税金の計算にも関係してきます。実際に利益が出た場合は税金がかかりますが、まだ実現していない評価益には通常は税金はかかりません。しかし、場合によっては評価益にも税金がかかることがあるので注意が必要です。評価損益を正しく理解し、適切に管理することが、資産を増やしていく上で非常に重要です。

項目 説明
評価損益 保有資産の価値変動によって生じる未実現の利益または損失(含み益/含み損)
評価益 資産の価値が購入時より上昇した場合
評価損 資産の価値が購入時より下落した場合
活用方法
  • 資産全体のリスク把握
  • 投資判断(売却検討など)
  • 税金計算(実現益に対して課税)
重要性 資産管理・運用において不可欠

実現損益と評価損益の違い

実現損益と評価損益の違い

実現損益と評価損益は、資産価値の変動を示す指標ですが、その確定の有無に大きな違いがあります。実現損益とは、実際に資産を売却した際に生じる利益または損失のことです。例えば、百万円で購入した株式を百二十万円で売却した場合、二十万円の実現益となります。この実現益には、原則として税金が課されます。一方、評価損益は、資産を売却せずに保有している状態で、市場価格に基づいて算出される未確定の利益または損失を指します。先の例で、百万円で購入した株式の市場価格が百十万円になった場合、十万円の評価益が発生しますが、売却していないため、この時点では含み益として扱われ、税金は課されません。

実現損益は、企業の業績に直接影響を与え、評価損益は、企業の財政状態に影響を与えます。投資判断においては、実現損益は過去の投資結果を、評価損益は将来の投資可能性を示すため、両者を区別し、総合的に分析することが重要です。

実現損益 評価損益
定義 実際に資産を売却した際に生じる利益または損失 資産を売却せずに保有している状態で、市場価格に基づいて算出される未確定の利益または損失
確定 確定済 未確定
課税 課税対象 課税対象外 (売却時まで)
影響 企業の業績に直接影響 企業の財政状態に影響
投資判断 過去の投資結果を示す 将来の投資可能性を示す

評価損益の計算方法

評価損益の計算方法

評価損益の算出は、現在の資産価値から取得時の価格を差し引くことで求められます。例えば、株を1株千円で購入し、現在の市場価格が千二百円であれば、1株あたり二百円の評価益となります。百株保有していれば、全体の評価益は二万円です。同様に、土地などの場合も、現在の評価額から購入価格を差し引いて計算します。ただし、土地の評価額は市場の動向や建物の老朽化によって変動するため、定期的な見直しが大切です。評価損益を計算する際は、手数料や税金などの費用も考慮に入れる必要があります。株式の売買手数料や土地の仲介手数料などが該当します。評価損益は、資産全体の状況を把握する上で重要な指標です。全体の評価損益を知ることで、どの資産が利益をもたらし、どの資産が損失を出しているのかを分析できます。この分析結果をもとに、資産の再配分などを行うことで、より良い資産運用を目指せます。

項目 内容
評価損益の算出 現在の資産価値 – 取得時の価格
評価益の例 (株式) 1株1,000円で購入 → 現在1,200円 → 1株あたり200円の評価益 (100株保有で20,000円)
土地の評価額 市場動向や建物の老朽化により変動するため、定期的な見直しが重要
考慮すべき費用 手数料、税金 (株式の売買手数料、土地の仲介手数料など)
評価損益の重要性 資産全体の状況把握に不可欠な指標
分析と活用 どの資産が利益/損失をもたらしているかを分析し、資産の再配分に活用

評価損益が投資判断に与える影響

評価損益が投資判断に与える影響

投資における評価損益は、その後の判断に大きな影響を与えます。含み益が出ている場合、利益を確定させるために売却を考えるのは自然な流れです。特に短期での利益を重視する方は、魅力的に感じるでしょう。しかし、長期的な視点で見れば、売却が必ずしも最適とは限りません。将来的な価値上昇が見込めるならば、保有し続けることも有効な戦略です。

一方、含み損が出ている場合は、損失拡大を防ぐために売却、いわゆる損切りを検討する必要があります。損切りのタイミングは、個々人のリスク許容度や投資戦略によって異なります。含み損が出たからといって、すぐに売る必要はありませんが、損失が拡大する可能性が高い場合は、早めの決断が重要です。

評価損益はあくまで参考情報の一つです。投資判断においては、企業の業績や市場の動向など、多角的な視点を持つことが不可欠です

評価損益 考えられる行動 短期的な視点 長期的な視点 注意点
含み益 売却 (利益確定) 魅力的 必ずしも最適ではない (将来的な価値上昇の可能性) 将来的な価値上昇を見込める場合は保有も検討
含み損 損切り (売却) 損失拡大を防ぐ リスク許容度や投資戦略による 損失が拡大する可能性が高い場合は早めの決断
全体 多角的な視点での判断 企業の業績や市場の動向などを考慮

評価損益と税金

評価損益と税金

金融商品の評価損益は、税金に影響を与えることがあります。日本では、株式や投資信託などを売却して得た利益には、約20%の税金がかかります。これは売却して利益が確定した時点でのみ課税されます。つまり、含み益の状態では税金は発生しません。ただし、相続が発生した場合は、含み益も相続税評価額に影響することがあります。

一方、含み損が出ている場合は、税金を軽減できる可能性があります。例えば、株式の売却で損失が出た場合、他の株式の売却益と相殺できます。もし損失が大きく相殺しきれない場合は、翌年以降3年間、損失を繰り越して利益と相殺することが可能です。

不動産を売却した場合も、譲渡所得に対して税金がかかります。税率は不動産の所有期間によって異なり、長期保有の場合と短期保有の場合で税率が異なります。税金は資産運用において重要な要素ですので、専門家への相談も有効です

評価損益の種類 税金の取扱 詳細
含み益 課税対象外 売却して利益が確定した時点(約20%)で課税。相続時は相続税評価額に影響
含み損 税金軽減の可能性 株式売却益と相殺可能。相殺しきれない場合、翌年以降3年間繰り越し可能
不動産売却 譲渡所得に課税 所有期間によって税率が異なる(長期/短期)