紛争解決の糸口:あっせん制度とは
投資の初心者
投資の用語で出てくる『あっせん』って、どういう意味ですか?なんだか難しそうです。
投資アドバイザー
『あっせん』は、投資に関するトラブルが起きた時に、間に入って解決を助ける制度のことです。例えば、投資した会社と意見が食い違って困っている時に、第三者が仲立ちをして、お互いの言い分を聞きながら、話し合いで解決できるようにサポートします。
投資の初心者
第三者が間に入るんですね。裁判とは違うんですか?
投資アドバイザー
はい、裁判とは違います。『あっせん』は、あくまで話し合いによる解決を目指すものです。裁判のように、どちらが正しいかを決めるのではなく、お互いが納得できるような落としどころを探すイメージですね。より穏便な解決方法と言えるでしょう。
あっせんとは。
「投資」における『仲介』とは、対立する二者の間に第三者が入り、双方の意見を聞きながら、互いの主張を調整し、最終的に争いを解決(和解)させる仕組みを指します。金融商品取引業協会に加盟する業者と顧客との間で紛争が起きた場合、その申し立ては金融ADR機構が受け付けています。
あっせん制度の基本
あっせん制度は、対立する二者の間に入り、問題解決を支援する仕組みです。当事者同士での話し合いが難しい場合に、第三者が仲介役となり、双方の意見を丁寧に聞き取ります。そして、それぞれの主張を理解した上で、互いの立場を尊重しながら合意点を探る手助けをします。この制度の目的は、裁判などの公式な手続きを避け、友好的な解決を目指すことです。あっせん人は中立的な立場でコミュニケーションを円滑にし、現実的な解決策を提案することで、紛争の早期解決を促します。裁判に比べて時間や費用を抑えられるだけでなく、当事者間の関係悪化を防ぐ効果も期待できます。感情的な対立や専門知識が必要な場合に、専門家が介入することで冷静な判断と建設的な議論を促し、解決への道筋を示します。この制度は、迅速かつ柔軟な紛争解決手段として、社会において重要な役割を果たしています。
特徴 | 詳細 |
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定義 | 対立する二者の間に入り、問題解決を支援する仕組み |
目的 | 公式な手続きを避け、友好的な解決を目指す |
役割 |
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メリット |
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金融商品に関する紛争とあっせん
金融商品の取引では、仕組みの難解さや市場の変動により、お客様と金融機関との間で意見の食い違いが起こりがちです。例えば、投資信託の運用結果が思わしくない場合や、契約内容の説明が不十分だと感じた場合など、様々な理由で争いが生じることがあります。そのような時は、まず金融機関に直接相談することが大切ですが、それでも解決しない場合は、第三者にあっせんを依頼する制度の利用を考えてみましょう。この制度では、専門的な知識を持つ第三者が、お客様と金融機関の双方から事情を詳しく聞き取り、それぞれの言い分や証拠をもとに、公平な立場で解決策を提案します。第三者は、金融商品に関する専門知識はもちろん、法律や過去の裁判例に関する知識も持っており、客観的な視点から争いの解決を支援します。また、この制度を利用する過程では、お客様と金融機関が直接話し合う機会が設けられることもあり、お互いの誤解を解き、理解を深めることで、より穏やかな解決につながることもあります。この制度は、専門的な知識や経験が必要となるため、一般的には、金融に関する専門機関が業務を行っています。これらの機関は、国の行政機関の監督を受けており、公正中立な立場で紛争解決を支援しています。
争いの原因 | 解決方法 | 第三者あっせん制度 |
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仕組みの難解さ、市場の変動、運用結果の不満、説明不足 | まず金融機関に相談 | 専門家が公平な立場で解決策を提案 |
解決しない場合、第三者にあっせんを依頼 | 客観的な視点から争い解決を支援 | |
紛争解決機関が公正中立な立場で支援 |
FINMACにおけるあっせん
金融商品の取引でお客様が不満やトラブルを抱えた際、その解決を支援する機関として、特定非営利活動法人証券・金融商品あっせん相談センター、通称FINMAC(フィンマック)があります。ここでは、中立かつ公平な立場で、お客様と、FINMACの会員である金融機関との間の紛争解決をサポートしています。会員とは、例えば証券会社や投資顧問会社といった金融事業者のことです。
FINMACは、お客様からの紛争に関する申し立てを受け付け、あっせんという手続きを通じて、当事者間の和解を目指します。このあっせん手続きは、原則として無料で利用できます。ただし、弁護士などの専門家を依頼する場合は、その費用はお客様ご自身の負担となります。
手続きは、書面や電話、直接面談など、様々な方法で行われます。あっせん人は、お客様と金融機関の双方から事情を詳しく聞き取り、それぞれの主張や証拠を基に、解決策を提案します。そして、その解決策は、当事者双方の合意に基づいて決定されます。
FINMACのあっせん手続きは、裁判に比べて、時間や費用を大幅に抑えられるという利点があります。また、当事者間の関係が悪化するのを防ぐ効果も期待できます。金融商品に関するトラブルでお困りの際は、まずはFINMACに相談してみるのが良いでしょう。
機関名 | 特定非営利活動法人証券・金融商品あっせん相談センター (FINMAC) |
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役割 | 金融商品取引に関する顧客と金融機関の紛争解決支援 (あっせん) |
会員 | 証券会社、投資顧問会社などの金融事業者 |
手続き |
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費用 | 原則無料 (弁護士依頼費用は自己負担) |
利点 |
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あっせんのメリットとデメリット
あっせんは、争い事を解決する手段の一つですが、利用する前に良い点と悪い点を把握しておくことが大切です。良い点として、裁判よりも時間とお金を大幅に減らせることが挙げられます。裁判では、訴えるための書類を作ったり、証拠を集めたり、法廷で意見を述べたりと、多くの手間と時間がかかります。しかし、あっせんはより手軽に進められます。また、あっせん人は中立な立場で双方の意見を聞き調整するため、当事者同士の感情的な対立を和らげ、お互いに納得できる解決を促します。さらに、あっせんの結果は当事者同士の合意によって決まるため、裁判のように一方的な判決が出ることはありません。一方、悪い点としては、あっせんの結果に法的な強制力がないことが挙げられます。つまり、合意に至っても、相手が約束を守らない場合、裁判を起こさなければならない可能性があります。また、あっせん人は裁判官のような強制力を持っていないため、相手が協力しない場合、手続きが進まないこともあります。さらに、あっせんの結果は必ずしも自分の望み通りになるとは限りません。あっせん人は双方の意見を聞き、お互いが譲歩できる点を探るため、ある程度の妥協は必要です。したがって、あっせん制度を利用する際は、これらの良い点と悪い点をよく理解した上で、慎重に判断することが重要です。
良い点 | 悪い点 | |
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時間とお金 | 裁判より大幅に削減 | |
対立緩和 | 中立な立場で感情的な対立を和らげる | |
結果 | 当事者同士の合意で決定(一方的な判決なし) | 法的な強制力がない |
手続き | 手軽に進められる | 相手が非協力的な場合、進まない |
必ずしも望み通りの結果になるとは限らない(妥協が必要) |
あっせん制度を賢く利用するために
紛争解決支援制度を最大限に活用するためには、いくつかの重要な点があります。まず、問題が生じた際は、できるだけ早い段階で専門機関や相談窓口に相談することが大切です。早期に相談することで、問題が深刻化するのを防ぎ、より有利な条件で解決できる可能性が高まります。
次に、紛争解決支援の手続きに参加する際には、自身の主張を明確に伝えられるよう、事前に証拠を整理し、争点を把握しておくことが重要です。また、感情的にならず、冷静に相手の意見を聞き、建設的な対話を心がけましょう。
さらに、支援者が提示する和解案に対して、すぐに同意するのではなく、内容を十分に検討し、納得できるかどうかを慎重に判断する必要があります。もし、和解案に疑問がある場合は、遠慮なく支援者に質問し、不明な点を解消するように努めましょう。
最後に、紛争解決支援の手続きは、あくまで当事者間の合意を目指すものであり、必ずしも自身の希望どおりの結果になるとは限りません。そのため、ある程度の譲歩を覚悟し、柔軟な姿勢で交渉に臨むことが、円満な解決につながるでしょう。
ポイント | 詳細 |
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早期相談 | 問題発生後、できるだけ早く専門機関や相談窓口に相談する。 |
事前準備 | 証拠の整理、争点の把握を行い、自身の主張を明確に伝えられるようにする。 |
冷静な対話 | 感情的にならず、相手の意見を聞き、建設的な対話を心がける。 |
慎重な検討 | 和解案の内容を十分に検討し、納得できるか慎重に判断する。疑問点は遠慮なく質問する。 |
柔軟な姿勢 | ある程度の譲歩を覚悟し、柔軟な姿勢で交渉に臨む。 |