コリドーアプローチ

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年金

退職給付会計における回廊方式とは?

退職後の給付に関する会計処理における回廊方式とは、数理的な計算上の差異を扱う手法の一つです。具体的には、年金資産の運用実績と予測とのずれや、将来の給付額を予測するための前提条件の変更によって生じる差異を指します。この方式では、差異が一定の範囲内であれば、すぐに損益として計上せず、時間をかけて費用として処理します。この「一定の範囲」が回廊と呼ばれ、米国会計基準において重要な役割を果たしています。 回廊方式を適用することで、数理計算上の差異が財務諸表に与える影響を穏やかにし、企業の経営成績の安定性を示すことが期待できます。特に、年金制度のように長期間にわたる債務を抱える企業にとっては、毎期の損益の変動を抑えることができるため、資金計画を立てやすくなるという利点があります。しかし、この方式は将来の費用を繰り延べているに過ぎないという意見もあります。数理計算上の差異が蓄積し、回廊を超えた場合には、その超えた部分を費用として処理する必要があるため、注意が必要です。企業は、自社の年金制度の規模や特徴、そして将来の数理計算上の差異の発生可能性などを総合的に考慮し、慎重に判断する必要があります。また、会計基準の変更や、経済状況の変化などにも対応できるよう、定期的に見直しを行うことが大切です。