
ジャパンオフショア市場とは?その設立経緯と役割を解説
一九八六年十二月、東京にジャパンオフショア市場(通称JOM)が開設されました。これは、我が国の金融市場が世界と肩を並べる上で非常に重要な出来事でした。当時、我が国は目覚ましい経済成長を遂げ、世界でも有数の経済規模を誇る国となり、国際的な金融の中心地としての役割を果たすことが期待されていました。しかし、国内の金融に関する規則はまだ厳しく、海外からの投資家にとっては参加しにくい状況でした。そこで、規則を緩め、海外から資金を呼び込み、国内の金融市場を活発にするために、ジャパンオフショア市場が作られました。海外に住む人々が自由に取引できる市場として、円だけでなく、様々な通貨での取引を可能にし、世界的な資金調達や運用の要望に応えることができるようになりました。開設当初は、規模や取引の活発さで、ニューヨークやロンドンなどの既存のオフショア市場には及びませんでしたが、我が国の金融市場が世界へ進出するための大切な一歩となりました。この市場の開設は、単に新しい金融市場を作るだけでなく、我が国の金融制度の改革を促し、より自由で世界に開かれた市場へと変化させるための象徴的な出来事だったと言えるでしょう。この市場を通じて、我が国の金融機関は世界的な金融取引の知識を蓄え、世界での競争力を高めることができました。また、海外の金融機関にとっては、我が国市場への参加機会が広がり、新たな事業の機会が生まれることになりました。