ジュグラーの波

十年周期の景気変動は、フランスの経済学者ジュグラーが提唱したもので、おおよそ十年程度の間隔で繰り返される景気の波を指します。ジュグラーは、企業の設備投資の増減がこの周期の主な原因だと考えました。景気が良い時には、企業は積極的に設備投資を行い生産能力を拡大しますが、需要の伸びが鈍化すると過剰な生産能力が生じ、設備投資は抑制されます。この設備投資の変動が、景気全体の波を引き起こすという考え方です。この周期は「ジュグラーの波」とも呼ばれ、現代経済にも様々な形で現れると考えられています。技術革新や政策の変更も企業の設備投資に影響を与え、景気変動を引き起こす可能性があります。近年では、情報技術の進歩や地球温暖化対策などが新たな設備投資の波を生み出す要因として注目されています。また、世界経済の結びつきが強まる中で、一国の経済状況が他国の景気にも影響を与えるようになり、ジュグラーの波はより複雑になっています。投資を行う人々や企業を経営する人々は、この周期を理解し、適切な判断をすることが大切です。景気の波に乗るためには、常に経済状況を注意深く見守り、変化に柔軟に対応していくことが求められます。