
財政出動の効果を測る:政府支出乗数とは
政府支出乗数とは、政府が公共事業や社会保障などの支出を増加させた際に、その影響が経済全体にどれほど広がるかを示す指標です。政府が支出を増やすと、直接的には関連分野の需要が活性化されます。例えば、道路建設事業に政府が資金を投入すると、建設業における雇用機会が増え、資材の需要が拡大します。さらに、建設業で働く人々の収入が増加することで、消費活動が活発になります。この消費の増加が、他の産業の需要を刺激し、新たな収入を生み出すという連鎖反応を引き起こします。この過程を経て、政府支出の増加は、最初の支出額を上回る国民全体の所得増加をもたらす可能性があります。ただし、政府支出乗数の大きさは、経済状況や政策の内容によって異なり、正確な効果を予測することは困難です。しかし、政府が経済政策を計画する上で重要な考え方であることは確かです。乗数が大きいほど、政府支出の効果が高いことを意味し、景気刺激策としての有効性が期待できます。しかし、乗数が過度に大きいと、物価上昇を引き起こす可能性もあるため、適切な規模の政府支出が重要です。