
企業年金における資産評価:許容乖離率とは
企業年金において、将来の給付に必要な資金を準備するため、年金資産の価値を評価することが不可欠です。この評価方法の一つに、数理的な計算を用いる場合がありますが、その結果は必ずしも市場での実際の価格(時価)と完全に一致するとは限りません。そこで、数理的な評価額と時価との差、つまり乖離をどこまで認めるかを決める基準が許容乖離率です。
各企業年金は、この許容乖離率を独自に定めることができますが、一般的に上限は時価の15%とされています。この割合を設定することで、資産評価の安定性と市場の変動への対応力のバランスを取ることが可能になります。もし乖離が許容範囲を超えた場合、掛金の増額など、財政状況に影響を及ぼす可能性があります。そのため、許容乖離率の設定は、年金財政の健全性を保つ上で非常に重要な要素となります。適切な管理によって、年金制度の安定的な運営に繋げることが期待できます。