
貨幣数量説を提唱した経済学者フィッシャー
アーヴィング・フィッシャーは、一九〇〇年代初頭に活躍した米国の著名な経済学者であり、統計学者でもありました。彼は経済学に数理的な考え方を導入した初期の推進者として知られています。イェール大学で博士号を取得後、同大学で教鞭を執り、経済学の研究と教育に尽力しました。彼の研究は、お金の流れ、資本に関する理論、利子の割合、景気の変動など多岐にわたりますが、特にお金の量と物の値段の関係を説明する貨幣数量説の定式化は、後の経済学に大きな影響を与えました。また、彼は社会的な問題にも関心を持ち、禁酒運動や優生学運動など、当時の社会改革にも積極的に関わりました。しかし、一九二九年の世界的な経済 кризиスの直前に「株価は永遠に高い水準にある」と発言したことが、彼の評価を下げることになりました。それでも、彼の学術的な貢献は、その後の経済学研究において、重要な基礎となっています。