
経済全体の供給力を示す線:総供給曲線とは
総供給曲線とは、一国の経済全体において、様々な物価水準に対し、企業がどれだけの商品やサービスを供給しようとするかを示すものです。経済全体の供給能力を把握する上で重要な指標となります。大きく分けて、短期総供給曲線と長期総供給曲線があり、それぞれ異なる時間軸での経済の動きを表します。短期総供給曲線は、賃金や原材料価格といった生産要素の価格が一定であるという前提で描かれます。一方、長期総供給曲線は、これらの価格が完全に調整され、経済が最大限の生産能力を発揮している状態を示します。総供給曲線を理解することは、経済の安定と成長を促す政策を立案する上で不可欠です。例えば、需要を刺激する政策を行う際には、総供給曲線の形状を考慮に入れる必要があります。総供給曲線が垂直に近い場合、需要の増加は物価の上昇を引き起こすだけで、生産量の増加には繋がらない可能性があります。逆に、総供給曲線が水平に近い場合、需要の増加は生産量の増加を促し、物価上昇は小幅に抑えられると考えられます。このように、総供給曲線は、経済政策の効果を予測し、適切な政策を選択するための重要な道具となります。